05.素晴らしい日々
だいぶ間が空いてしまったのだが、
セルフライナーノーツを再開しようと思う。
この「素晴らしい日々」という曲は、今回のアルバム【VERSUS】に収録されている
楽曲の中でも一番最後まで歌詞に悩んだ曲だ。
歌入れの2日前まで殆ど歌詞ができず、
メンバーとリハーサルで録音した歌なしの演奏音源を繰り返し聴きながら
どんな内容の歌詞にしようかと悶々としていた。
歌入れ2日前の深夜、他の収録曲の歌詞を眺めながら、その曲達にはない目線の歌詞を
この楽曲に落とし込みたいと思った。
そして、その当時自分が疑問に思っていること、もどかしいこと、ストレスを感じていること。
そんなことを綴りたいと思った。
そんな時、世界的に話題になっていたアイスバケツチャレンジというものがあった。
ALS患者支援を目的とした氷水を被るキャンペーンだ。
指名を受けた人は頭から氷水を被るか、100ドル(日本では1万円と言われていたと記憶している)をALS協会に寄付する、あるいはその両方を24時間以内に選択する。そして、次に実行してほしい人を2〜3人指名するというものだった。
芸能人や著名人が多数参加し、世界的なブームになっていた。
僕のところにも指名が来た。
そして、僕は特に深く考えるでもなく、友人に動画を撮影してもらいながら
氷水を被った。
その動画を公開し、次の誰かを指名すれば、僕も立派にアイスバケツチャレンジに参加し、
お会いしたことのない、どこかでALSという難病と闘っている人のお役に立てるのだ。
そう思っていた。
家に帰り、先ほど撮影した動画をアップするため見直してみた。
そこには、氷水を被り、友人と楽しそうに笑っている自分が写っていた。
それは、心の底から誰かを想い、その人のために身を削っている人間の姿ではなかった。
僕はその動画を消去した。
なんだかとても申し訳ない気持ちが溢れ、虚しくなった。
いつの間にか、軽い気持ちで参加した「人のためのおこない」は「ただのイベント」と化していた。
もちろん、このチャレンジを通して寄付をした方。
たくさんの人が氷水被る姿を見て
勇気付けられた人、助けられた人も沢山いると思う。
それはとても素晴らしいことだと思う。
それと同時に、現在、結果としてこのチャレンジは、
ひとつのブームとして過去に置き去りにされている感が否めないことは
やはり残念だ。
(僕が知らないだけで現在も誰かが指名され、アイスバケツチャレンジは
どこかでおこなわれているのかもしれないが)
【素晴らしい日々】の2番の歌詞には
そんなアイスバケツチャレンジで感じた想いを投影させた。
自分自身、明確な答えを見出せないもどかしさ、無力さが
結果としてこの曲のメッセージとなっている。
今で言うと安保法案問題で日本が揺れている。
その他にもメディアやインターネットからは
沢山の情報が溢れ、知りたいことは何でも知れる世の中だ。
しかし、その情報が本物か偽物かの区別はどんどん曖昧になり。
僕らが自分で選んでいるつもりになっているものは、
実は誰かの意図によって「選ばされている」のかもしれない。
なにを信じればいいのか分からない時代だからこそ、
常に心に「? クエスチョン」を持ち続けなければいけないと思っている。
【素晴らしい日々】
誰にも伝えられずにどこかで誰か生まれたみたいだ
誰にも伝えられずにどこかで誰か撃たれたみたいだ
ラメ色の月
政治家はお国のことより椅子取りゲームに忙しいみたいだ
僕らも結局のところそれを見守る優しい理解者
バラ色の未来さ
嗚呼 素晴らしい夜が明けるぜ 世界は遠回しに枯れていても
嗚呼 くだらねぇことがいつでも本当に観たいものを隠してゆくよ
噛み付いたまま媚びたのはどっちだ?
錆び付いたままの飛行船
回覧板でも回すみたいに愛を回す ゲーム感覚
次の誰かに回して忘れる愛はどこかチープなんだ
悪気なき嘘だらけさ
ちょっと気張った飯を撮ってSNSで「いいね」もらって
でもなんかいつもどっか虚しい
偽物だって精度上がって
本物だって厚化粧だ
LIE 愛
嗚呼 素晴らしい夜が明けるぜ 世界は遠回しに枯れていても
嗚呼 くだらねぇことがいつでも本当に観たいものを隠してゆくよ
嗚呼 素晴らしい夜が明けるぜ 世界は遠回しに枯れていても
嗚呼 くだらねぇことがいつでも本当に観たいものを壊してゆくよ