02.恋のダイス
前回の「VERSUS」に引き続き今回は「恋のダイス」のライナーノーツを綴ってゆこうと思う。
この曲は今回収録されている曲の中で最も古株の曲。
生まれた当時からライブでも度々演奏していて、音源化の要望を頂くことが多かった曲。
自分の中でも好きな曲なので毎回CDを制作する時には収録候補に挙るものの
他の曲とのバランス等を考慮した結果なかなか収録に至らなかった曲でもある。
「VERSUS」の歌詞が自分の生い立ちが大きく影響している曲だとしたら、
「恋のダイス」は、影響を受けた音楽が歌詞に色濃く反映されていると言える。
僕の書く詞にはある種の「ジャンル」がいくつかある。
まずは「花吹雪」「愛文-aibumi-」「春紫苑」の様なストーリー性があるもの。
このグループは一番産みの苦しみを要する。。。
小説を書く感覚というか、ストーリーや情景描写、
空気感をいかに伝えられるかを思案する作業は本当に身を削って書くという感じがある。
正直かなりしんどい(笑
時にはロケハン?!に行き実在する場所でストーリーを考えたり、
一番時間がかかるのもこのタイプの曲だ。
そして、「渋谷零時五十二分」「素晴らしい日々」の様な社会に対する想いと自分を重ねたもの
(なぜか激し目の曲調になる傾向がある、、、)。
正直なところこのタイプの曲がその時の自分の素の感情が
色濃く反映されている詞だったりする事が多い。
最後に、今回のライナーノーツ曲である「恋のダイス」が属する曲には
「HELLO HELLO HELLO」「サボテンのせい」などがある。
恋人に捨てられた主人公を題材にしたものが多い、、、、、
実はこのグループの曲を書いているときが一番楽しい。
韻を踏んでみたり、言葉遊びをしたりと比較的楽しみながら気付けば完成していることが多い。
ただ、恋人に捨てられる主人公をいかに痛々しくなり過ぎない様にするかに気を使う(笑
あまりにも悲惨すぎる内容だと歌っていても凹んでくるので、、、
悲しんでいる中にもどこか強さやユーモアを感じさせる主人公であって欲しいと思っている。
ある種の「救い」を残す感覚。
「呆れることはできるのに恨ませてくれない あなたはどこまでも ずるい人ね」
「恋のダイス」の最後を締めくくるこの歌詞がその女性の強さであり、
別れと向き合い、自分が進んでゆく為にも相手との関係を
前向きに捉えようという感情を描いたつもりだ。
これがもしもこんな歌詞ならどうだろうか。
「忘れることもできぬまま恨ませてください あなたをいつまでも 見ているわ」
それまでのストーリーの流れが一気に違うものに変わり、
きつ目のストーカーの曲になってしまう(笑
〆の部分の歌詞にはそう言った意味でも一番気を使う。
言葉とは、本当に面白い。
このタイプの歌詞には臼井嗣人の音楽に多大な影響を与えている
吉井和哉さんや井上陽水さんの詞世界の匂いを自分で書いていて感じる。
シリアスでありつつどこかユーモアがある様な。
もちろん各曲が完全に区分分けされている訳でなく、
曲によっては上記のジャンルにいくつか重なっていたり、
異なるジャンルに分けられる曲もある。
楽しみながら生まれる曲があれば、反対に苦しみの末に生まれる曲もある。
そして苦しみながら生み落とした故に、力が抜けた時に楽しみながらまた新たな曲が生まれる。
そんなことの繰り返し。
さて、次の曲はどちらだろうか。
【恋のダイス】
夢に焦がれて転がす恋のDICE
あなたに惹かれ踊った恋のDANCE
DON’T LET ME DOWN
DON’T LET ME DOWN
あなたのことを知ったつもりでDIVE
笑顔であなた わたしについたLIE
DON’T LET ME DOWN
DON’T LET ME DOWN
あなたの抱きしめた私は
ただの夢ですか 生身の愛ですか
左薬指に残った
あなたのカケラに 今も繋がれて
生きている
雨に打たれて冷えきる恋はDIE
あなたの影に問い続けるのWHY?
DON’T MAKE ME CRY
DON’T MAKE ME CRY
あなたの抱きしめた私は
ただの夢ですか 生身の愛ですか
左薬指に残った
あなたのカケラに今も繋がれて
わたしの指先でなぞった
あなたの心は今どこにいるの
呆れることはできるのに恨ませてくれない
あなたはどこまでも ずるい人ね